逢瀬。

2005年4月3日 恋愛
恋人に会ってきました。その経緯のできごとメモです。

***

はっきりとした時間はわからないとのことだったので、本を読みながらだらだらしてたらいつの間にか寝ていた。恋人からもらった指輪をなくす夢をみた。起きてからも意識は混濁していて、体が重たかった。今日は会えないんじゃないかと思えてきた。気分がどんよりとしている。
ぼんやりしてたら恋人から電話がきて、今から店舗にいくからもう少しかかる、とのこと。
ああ、会えるのか。ほっとしたようなそうでないような、不思議な気持ちだった。

19時半ころ、私の家の駅で待ち合わせ。早く着いたので、ロータリーのところで座って待っていた。いやに緊張して、心臓がどきどきしていた。電車が停まって、恋人が改札から出てきた。スーツを着て、髪を短くして、べつの人みたいだった。顔には心なしか精悍さがそなわっていた。

久し振りに手をつないで歩いた。恋人の手は暖かかった。横顔がいつもと違う気がして、少し淋しくなった。

駅前のファミレスに行ってごはんを食べ、いろいろと話す。研修中のこと、私の仕事のこと。やっぱり恋人は成長していて、頼もしくなっていた。
私はなんだかせつない気持ちのままで、ふにゃふにゃと笑うことしかできなかった。たまに涙がこみあげてきて、顔を伏せた。

あっというまに時間が過ぎて、そろそろかな、と思っていたら、恋人が突然「イズミの家に行こう」と言った。
私はびっくりして「なんで?」と聞いた。
「久し振りに行きたいんだ。泊まらないで帰るの見るの嫌?」と恋人。
私は黙って頷いた。でも恋人は「行こう」と言って店を出た。

私の家までの道を、何度こうして手をつないで歩いたかわからない。
でも今は今までと違うんだ、もう何かが始まっているんだ。そんなことを考えながら歩いた。
ときおり恋人はつないだ手の力をぐっと込めた。私もぎゅっと握った。

家に着いて、抱き合うまでに時間はかからなかった。ほとんど無言で抱き合った。自分がどれだけ恋人の体温を求めていたかわかった。無我夢中で恋人にしがみついていた。恋人も同じように、なにかを確かめるように私の身体に恋人の身体を埋めていた。

裸で抱き合って、私はやっといつものように笑うことができた。

ほどなく恋人が帰りじたくを始めて、私はそれをずっと見ていた。恋人は黙ってワイシャツを着てネクタイをつけ、スーツ姿になった。
これから何度もこんな光景を見ることになるんだろうな、と思う。夜中に、早朝に、いってしまう恋人。私をこの部屋にひとり残して。でもそれは置いてけぼりじゃない。また必ず会えるし、また一緒にいられるんだ。

帰りは駅まで一緒に歩いた。恋人はもう月曜から始まる仕事のことを考えていた。横顔でわかってしまう。
「私のこと、忘れないでね」と呟いた。恋人は「別れたいの?」と突然訊ねる。私はびっくりする。恋人も同じように不安を抱えているのかもしれない。簡単にそんなこと言っちゃだめなんだな、と思う。

てくてく歩きながら、淋しさは増していく。でも時は流れる。しあわせな時間が過ぎれば淋しい時間がきて、またその逆も必ずやってくるのだ。

信じよう。

また連絡するから、と恋人が言って、駅前で別れた。
雨が降り出してきた。自転車を飛ばして家に着く。

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